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「冠」と「祭」の再編

〈葬儀料、僧侶へのお布施、弔問客の接待費など、葬式にはかなりの費用がかかるうえ、戒名まで金で買うのです〉(「戒名は、大居士、居士、信士の順で値段がちがう」)とチクリとやってみたりするかと思えば、こんな提案もある。〈私の仲のよい友人が、私に「もしも自分が死んだら、きれいに化粧した顔だけわずかに出して、白いカーネーションをそのまわりに、あとは棺いっぱいに、大好きな黄色いバラでうずめてもらいたいわ。」と言っていました。これは男性にはわからない女心でしょう〉(「棺の中には、焼けにくいものを入れない」)女心に基づくこの提案は、実際にも一九八〇年代から一般化して、現在の葬儀ではすでに定番になっている。出棺前に近親者の手で棺を花で埋める「別れ花の式」である。いや、あれは西洋の葬式で墓穴に土をかぶせる前に花を投げ入れる習慣を模したのだ、という説もあるけれど、いずれにしても、それを採用したのはどこかの葬儀社だ。後の式次第にまで影響を与えたのだとしたら、おそるべし『冠婚葬祭入門』、といわなくてはならない。『冠婚葬祭入門』と近代家族『冠婚葬祭入門』のもうひとつの特徴は、「冠」と「祭」の再編である。だいたい冠婚葬祭とはいうものの、それまでの類書においては「冠」と「祭」は曖昧模糊としていたのである。冠は元服、祭は先祖の祭祀といわれても、そもそもが江戸時代の人生観に基づいた分類である以上、近現代の生活にこれを当てはめるのは無理がある。

失礼のない年始まわりのマナーとは

年始のあいさつは、年賀ともいうように、年の始めに「今年一年またよろしく」とお祝いのあいさつをして、変わらぬ交際をお願いする行事として定着した。ただ、元日は家族だけで過ごすのが基本とされるから、身内以外なら二日以降に訪問するようにしたい。個人的なつきあいなら、仕事が休みのあいだにすませておくのがいいが、松の内なら年始あいさつとして失礼にはならない。儀礼的に玄関先であいさつだけしてくるような年賀なら、年末のうちに先方の都合を聞いておいて訪問しても許される。伺うなら朝はゆっくりめがよく、早くても一一時以降にし、同じ年始のあいさつでも、上がっていくようすすめられそうな、ゆっくりくつろげるお宅を最後にするようスケジュールを組む。あいさつに伺うにはお年賀の品が欠かせないが、二〇〇〇円程度が目安。お歳暮をいただきっぱなし……というようなお宅には値の張るものにして、ここをお返しのチャンスにしてもいい。

エレベーターやタクシー、目上の人に失礼のない乗り方は?

エレベーターの乗り降りでは、目下の自分がドアを開けた状態にし、お客様や目上の人を先に乗せるのが基本。とくに降りるときは、操作盤の開ボタンを押しながら、もう片方の手でドアを押さえ、目上の方に先に降りていただく。エレベーターの中では入り口から入って左奥が上座。目下の者が操作盤の前に立ち、お客様や職位が上の方を案内する。操作盤が左右ともにある場合は、左側の操作盤の前が下座。タクシーでも乗り降りのときに目下の者がドア近くにいると安心。席次は、運転手の真後ろの後部座席が最上位。以下、反対のドア側、真ん中、助手席の順。また自家用車の場合は、助手席が最上位、以下運転席の後ろ、反対のドア側、真ん中の順となる。